いろいろとお気に入りの短歌の紹介をしています。
このBLOGを見て短歌に興味がでたり、自分でもつくってみたくなったりされている方もいるかもしれません。
まったくそんな気はない方もいらっしゃるでしょう。
いずれにしても短歌をつくる時に何を題材にするかは悩むところです。
身近な題材ですと、子供のことを詠む方も多くみられて、「子育て短歌」は一つのジャンルとして不動の地位を確立しているようです。
子育ての中で起こる様々な事件(?)を短歌にして記録しておくのも楽しいかもしれません。
一時間かけて食みたる朝の粥けふのおまえの虹の根となれ
黒瀬珂瀾『ひかりの針がうたふ』より
歌の中の「けふ」は古語です。「きょう(今日)」と読んでください。
同様に歌集タイトルの「うたふ」も「うたう」です。
子供への愛情があふれる歌。虹色にかがやく子供の日常、その根っこになるようにしっかりとお粥を食べましょう。。
他にもこの歌集にはイクメン歌人の黒瀬さんの子育ての短歌が多く収録されています。
いくつか紹介します。
児の喉に白き星降り舞姫のごとき名乗りのペルパンギーナ
ペルパンギーナとは乳幼児に多く見られる夏風邪の代表的なウイルス性の感染症で、喉に小さな水泡がたくさん出来ます。
子供を病院に連れて行った時の情景でしょうか。お医者さんから「ペルパンギーナ」と病名を聞いて、父はバレリーナの名前のようだと感じたのです。子供の方はそれどころではないはずです(笑)
智慧の実を日々齧りゆく一歳はおむつパックを抱へくるなり
おむつ替えての合図。これなんかわかるな~って感じです。
もちろん実際に智慧の実を齧っているわけではないのですが、自然と日々いろいろな学習をしていきますよね。
蒸かし芋ほほばるたびに壁沿ひをひと巡りして彗星の吾子
もはやわが生み得ぬ歓喜ここにあり出汁巻き卵に児は歌ひ出す
こんなこともありました。うちの場合はかまぼこダンスとコーン(トウモロコシ)の絶叫たっだな!
そして子供の日常はきっとこんな風にファンタジーなのでしょうね。
あひるあひる四方(よも)にうかべて大時化をおこす一歳児の海坊主
猿公(あいあい)と白象(ぱおー)、獅子(がおー)を引き連れて児は眠りゆく森の奥まで
パパゴリラごりらをどりを披露せりママゴリラまだ恥じらひのある (これも古語、「をどり」は「おどり」、「恥じらひ」は「恥じらい」でお願いします)
てんたうむしさんおきて!と薄明の小さなる死へと児は呼びかけつ
最後に僕も子供の短歌を詠んだりしています。
家族で沖縄旅行に行った時のことです。
空港の荷物検査をざわつかす吾子が図工で作りたる箱
4歳だった息子がスマホが欲しかったのか、ダンボールのなかにいろいろなものを詰め込んで自分用のスマホ(のようなもの)ををつくりました。
まさかリュックの中にそれを入れていたとは思っていなかったのですが、空港のX線検査で引っかかってしまい(笑)
拙歌で失礼しました。