通りを歩いていると、見慣れた顔が近づいてきた。
Tさんです。
Tさんはrolcaの懇意にさせていただいている同業アパレルメーカーの部長さん。
彼の知識はアパレルにとどまらず音楽、映画、美術、食、小説などととどまることを知りません。
「ネオニコチノイドって知ってますか?」
と開口一番に話しかけられて、
ミツバチネタだなと思う。
最近ミツバチネタで話しかけられることが多くなり、友人から「ミツバチの巣を発見しましたよ」なんて電話がかかってくるのはいいとして、「スズメバチの巣があるんですけど、どうしたらいいですか?」なんて電話もかかってくる。 知りません。
ミツバチとネオニコチノイド
話をもどして、ネオニコチノイドというのは農薬の名前で他の農薬に比べ人体に与える害が少ないと言われています。ただ、なぜかこの農薬を使っている農家の近くでミツバチがいなくなるという被害が続出していて問題になっている農薬。
ヨーロッパでは使用禁止もしくは規制しているところも多いが、日本では頻繁に使われていることから、養蜂家の間では反対運動も多く、そもそもミツバチに異常が出るくらいだから人体に影響が少ないというのも疑わしいと結構な問題になっているようです。
「最近この本読んでまして、」Tさんがとつづける。
それがこの本。
「農薬とか遺伝子組み換えがテーマになってる小説なんですけど。主人公が養蜂家なんですよね。読んでるとヤモさん(僕のこと)思い出して。」
とのこと。
面白そうなので早速買って、読んでみることに。
黙示 真山仁
作家の真山仁さんは昔、柴田恭平と大森南朋の主演でNHKドラマになった「ハゲタカ」が面白かったので原作の小説も読んでみたことはありましたが、この本は存在も知りませんでした。
ネオニコチノイド系の農薬を空中散布していたラジコンヘリコプターが小学生の集団に墜落するところから話は始まります。痙攣して病院に運ばれる小学生たち。
なかでも症状が重く後遺症が出ることになった男の子の父親が皮肉なことにこの農薬の開発者。
彼と養蜂家が中心になり話が進んでいく。
農薬問題から始まり遺伝子組み換えや食物栽培工場まで真山さんらしい「食の安全」をテーマにした社会派ドラマになっています。
現代の食料事情問題をよそ目に、古代から続く養蜂というミツバチの営みをベースにした食のあり方が象徴的に登場して感慨深いものがありましたね。
ミツバチの失踪
小説でも出てくるネオニコチノイドが悪者になっているミツバチの失踪。
実は、はっきりとした原因はわかっていません。
異常気象のせい。
電波が。
と、いろいろ言われています。
おそらくいろんな要素がからまっているのではないでしょうか?
人間が飼うからだという学者もいます。
曰く「人間に飼いならされようになれば、勇敢なオオカミも病気がちなプードルになってしまう。」
そういわれれば元も子もないですが。
本当のところは?
わかりませんが、あながち全くないとも言えません。
一説によると恐竜時代から存在していたといわれているミツバチ。
氷河期を生き抜いてきたこのミツバチもいまや冬の寒さにはめっぽう弱いです。
うちのミツバチ達も冬になると巣箱の周りを発泡スチロールで囲んでやります。
そして、出入り口からも冷たい風が吹き込まないように新聞紙で半分以上をふさいでやります。
冬になりとあまり外には出なくなるとはいえ、しばらくはストレスだと思いますが寒いと死んでしまうのでいたしかたありませんね。
そうした過保護が本当の原因なのかしら?